「東京マリーゴールド」'01 市川準・監督  林真理子・原作

東京マリーゴールド

<あらすじ>

21歳のエリコは、恋人と別れたばかり。仕事を変えてみたり、おしゃれしてみても心は晴れない。そんなある日、友達に誘われて参加した合コンで、彼女はタムラという男性に出会い恋してしまう。
ところが、彼には留学中の恋人がいたのだ。一度は忘れようとしたものの、どうしても彼のことを
忘れられないエリコ。そこで、彼女は恋人が留学から戻って来る1年という期限付きで、彼と付き
合うことに。だが、終わることが見えている空しさ、ふたりの女性の間ではっきりした態度をとらないタムラに、エリコの心にはやるせなさが積もる。やがて、1年間の恋が終わった。タムラのことをふっきろうと努めるエリコは、しかし偶然にも、タムラの恋人が別の男性と結婚していたことを知る。
実は、タムラは前の恋人との失恋を引きずっていたのだ。そのことを悟った時、エリコの顔に笑顔が戻っていた。

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD32615/story.html?flash=1

映画「つぐみ」が、なかなかの出来映えだった。この監督の小津安二郎に影響を受けたカメラ・アングルが観たくなり、鑑賞。


映像はまあ良し、演技はまあまあ、ストーリーは最悪。簡単に評すると、こうなる。久々に映画観た後、「くだらん、時間の無駄使い」と思った。
この映画観て、それなりに評価している人もいるが、わからん、理解不能、これが世代間ギャップ、なのか?


監督インタビューで、カラオケのシーンが原作にあり仕方なく、いやいやながら撮った、という意味の発言をしていた。 それを聞き「やはりな」と思う。件のカラオケのシーンは、安手のTVドラマのようで見るに耐えなかったのだ。


一番の問題は、物語の陳腐さに由来するのだろう。原作を大胆に書き換えた方が、良かったのでは
と感じる。男側からの視点に欠けているのだ。原作がもともと、女の子のための切ない切ないラブストーリーを意図して書かれたものであれば、致し方ないが…。


初デートの場面で思わず「あんぐり」状態。今時に限らず昔から、女を口説くのに、恋人とののろけ話なんかするもんかい!「タムラ、あんたはなんて愚鈍なんだ!」 本気で女をものにしたいなら、妻や恋人がいたにしても、悪口も含めて、そんな話題に触れないよ。


エリコも自分は、恋人が留学してるから帰国するまでの代用品。そう認めて恋愛してんだったら、別れの時みっともなく泣くなよ! そこには、情念というか、割り切ろうとしても割り切れない矛盾した女の姿が見えてこない。
主演の田中麗奈は、CMではいい味だしてるが、長時間の映画となると…。安直なTVドラマの演技?


ここまで書いて、ふと思う。そうかこれって、「子供の恋愛ごっこ」なんだ。エリコもタムラも成人はしていても「お子さま」なんだ。
ラストでのエリコの笑顔が、子供から大人への脱皮の瞬間だった、と解釈すれば、市川監督がこのくだらんストーリーで作品を制作した意図が、少々理解できる。


似たような設定であっても、小池真理子山田詠美が書いたらもっと違った展開になるのでは? 
と思った次第である。


なんだよ。結局、原作に文句言ってるのか? ビンゴー!である。