『つぐみ』(1990)監督・市川準 原作・吉本ばなな

つぐみ

映画『ふたり』で中嶋朋子がよかったので、レンタルしてきました。

生まれつき身体が弱く、甘やかされて育ったつぐみはわがままな18才の少女。いつも死の恐怖と背中会わせの日常を送っているせいか、従姉妹のまりあはそんなつぐみに心を引きつけられていた。東京で大学生活を送るまりあは、つぐみとその姉の陽子に招かれ、高校まで過ごした西伊豆へ渡る。なつかしい思い出さながらに穏やかな日々を送る彼女らの前に、恭一という青年があらわれる。運命の出会いのように巡り会ったつぐみと恭一は自然に惹かれ合うが、つぐみに横恋慕する不良少年たちは、恭一に暴行を加え、さらにつぐみの愛犬を殺してしまう。不良達に復讐を考えるつぐみはすべての力を振り絞って大きな落とし穴を掘った。しかしそれによってつぐみは倒れてしまう。こうして夏も終わり、東京に戻ったまりあの元に、つぐみから遺書めいた手紙が届く。つぐみのことを心配するまりあ、そんな彼女のバイト先に電話が掛かってきた。不安そうに電話に出るまりあに受話器の向こうから「よう、ブス!」とつぐみが明るく語りかけてくるのだった。


映画の舞台になった旅館
<主な配役>
牧瀬里穂 (つぐみ)
中嶋朋子 (まりあ)
白島靖代 (陽子)
真田広之 (恭一)
安田伸 (つぐみの父・正)
渡辺美佐子 (つぐみの母・政子)
あがた森魚 (まりあの父)
高橋節子 (まりあの母)
下絛正巳 (医師)

牧瀬里穂は、この映画と前作(『東京上空いらっしゃいませ』)で各賞を取ったとのこと。納得できる存在感だ。一方、中嶋朋子は映画『ふたり』のときほどの輝きはない。(あくまで『ふたり』との比較です。それでもブルーリボン賞助演女優賞。) 
どうも、「つぐみ」と「まりあ」を主役とするのは、映画では上手くいってない。脚本の所為と思うが、「つぐみ」の動にたいして「まりあ」の靜が十分に生かされていない。メリハリに欠けるのだ。「つぐみ」が強烈であるだけに、その陰に隠れてしまい、引き立て役? との印象を受ける。 
言い換えると、中嶋朋子の演技が上手いので、スタッフがそれに頼って、余力を演技的に弱い牧瀬里穂に注いだ。結果、牧瀬には吉とでたが、中嶋は割を食ってしまった。それは、他の役者に関しても言える。渡辺美佐子下條正巳をわざわざ使う必要があったのだろうか。

とはいえ本作は、駄作ではない。佳作である。が、名作になるにはあと一息、というのが個人的な意見だ。

映画の舞台になる西伊豆・松崎の景色は素晴らしい。

上は原作です。