『食卓の情景』(新潮文庫)池波正太郎

池波正太郎



昨日というかその前の深夜に、カレーを作るゾーと思い立った後に、部屋で読んだ本。
もう何回読み返したのか覚えていない。文庫本の初版を購入。発刊は'80年4月なので、その年の内には読んでいたのだろう。(日記を付ける習慣がなかったので、記憶を確かめる術がない) 


本書の「カレーライス」の項には

戦前の銀座のレストラン〔モナミ〕のカレーライス。あんなにうまいカレーライスがあったろうか……。
などというのも、人それぞれの追憶の心情が食べ物にむすびついているからで、好みは千差万別がよいのである。

−中略−

私が自分でつくるときのライスカレーのつくり方を、ちょいと書いてみようか。つぎのごとくだ。

1,油の多い豚肉を一口大に切って、塩・コショウと共に、カレー粉を小さじ一杯、ふりかけておく。
2,少量の玉ねぎ、にんじん、じゃがいも、それにニンニク、ショウガをみじん切りにし、厚手の鍋を使って、サラダオイルでいためる。小麦粉を加え、褐色になるまでいためてから、カレー粉を小さじ二杯加え、さらにいため、固形スープをお湯カップ三杯にとかして加え、カレー・ルウをつくる。
3,豚肉、じゃがいも、にんじん、玉ねぎを強火で別々にいため、前のカレー・ルウに入れて煮込み、カレー粉大さじ半杯を加えて仕上げる。                                               『食卓の情景』pp.174-178

とあり、ボクがカレーを作るときの参考になった。(池波氏よりボクはいろいろ香辛料を入れますが…)


上記の項目以外にも「映画の食卓」「とんかつとカツレツ」「横浜にて」等々、その後の食生活や映画鑑賞や旅行などなど、ボクの行動は本書から影響を受けたものが多い。グルメ本とか食通本のレベル以上の内容である、といまも思っている。


ずいぶん池波氏の本は読んだもので、「三嶋亭」ですきやき食べたり、「サンボア」でドライ・マティーニ飲んだり、氏の著作がきっかけになっていることが多い。


台東区立中央図書館には「池波正太郎記念文庫」があるそうな。次回の東京行の祭、行ってみたいところである。


食卓の情景 (新潮文庫)