「鬼平犯科帳」【山吹屋お勝】

鬼平犯科帳 第1シリーズ《第20・21話》 [DVD]
最近、KBS京都というUチャンネルでTV版「鬼平犯科帳」の再放送を流している。四半世紀前からの池波正太郎ファンとしては、原作に比べたら…、と思いつつも主演が吉衛門。と聞くと、じっとしてはいられない。録画して、帰宅後に見ることになるのだが。うーん、どうもいけない。映画では、「原作とは別物」と割り切って観ている。でもねえ、鬼平ファンとしては、どうも納得のいかないところが多すぎる。


原作と違うからというのではない。なんか、原作の精神が失われて、意味もなく面白くしようとしているみたいで、見るに耐えない。原作に流れる、「粋」や「灰汁抜けてる」感じがどうもしないのだ。視聴者に媚びを振りまいているような話の展開で、個人的にはしんどいなあ。
でも、一般的には人気があるのだから、それはそれでいいのだろう(苦笑)


実際、吉衛門を始め、最初は危うい感じだった尾美としのりの木村忠吾もだいぶんと板に付いてきた。役者はいいのだが、脚本のセンスかなあ?
【山吹屋お勝】の話は、個人的には好きな一編だ。中年の密偵−元盗賊−が昔の恋人と再会し、お役目も忘れて駆け落ちするところが話の中心と思っていた。だから、血なまぐさいシーンはそれほどでもないのに、TVの方はやたらに殺したがるなあ。
人を一途に想う気持ちに、鬼平も粋に「お目こぼし」をしている、ちょいといい話なんだけどなあ。


それと、この話で「スペシャル版」も製作していたのですね。でもこの話で、2時間はつらいなあ。
鬼平犯科帳 スペシャル 山吹屋お勝 [DVD]


吉衛門を観るだけでも、値打ちがある作品といえば言えるのだが…。やっぱり、池波を楽しむのは、映像ではなく小説に限る、と確認した次第。

新装版 鬼平犯科帳 (5) (文春文庫)