病院も医者も大変だ〜

「医者」といえば金持ちの代名詞、そう思ってしまうのは、一面的な理解に過ぎないようだ。
病院経営には、患者サービスの向上、労務管理、資金繰り、医療法人化といった、診察室で患者に対する以外での努力がなければ、必要となってくるようだ。そうでないと、健全な経営は望めないみたいだ。


昨年度の医療制度改革により、病院の経営不振や倒産が珍しくない時代に突入したようだ。
そんなことを知るTV番組を最近見た。


今年5月の番組で、下町の精神科クリニック(川崎メンタルクリニック)に通院する「性同一性障害カップル」が紹介されていた。
彼らにとって、ある意味、羅針盤にあたるようなクリニックだが、昨年度の医療制度改革が因となり、患者が激減。ただそれは一因に過ぎず、ある医師の患者への応対に原因があった。
どのように患者から信頼を獲得するかが、病院経営には欠かせないことがわかった。


また、映画『幸福の黄色いハンカチ』を持ち出すまでもなく、過去「炭鉱の町」として知られていた夕張を舞台にした番組もあった。
それは、夕張市立総合病院(現・夕張医療センター)の経営破綻を受け、再建に乗り出した村上医師とそのスタッフたちの活動である。「情熱大陸」と「NHKスペシャル」の両方で紹介されていた。

医師法
第1条 医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする。

と記されている。が、薬漬けの医療、リハビリ軽視の傾向が病院経営に大手を振って歩いているという。
そして、医療制度改革によりはじき出された高齢者。
夕張の問題は、将来、我々自身が直面する問題だ。


病院も法人として、商売と無縁ではいられない。だからといって、高齢者や病を抱えた者を「金のなる木」のごとく薬漬けにして、不要になれば見捨ててしまうのは、医師法の精神に反するし、保険制度の破綻にもつながる。
市場原理も、使い方次第で善くなるしも悪しくもなる。


今後の病院経営は、生活習慣を見直す予防治療といった面での患者サービスの向上が不可欠だ。そのようにして、保険制度を上手に維持していく工夫が、今後の病院経営には必要になってくるのではなかろうか?