『ニュー・シネマ・パラダイス』'89 ジュゼッペ・トルナトーレ/監督&脚本

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アカデミー賞外国語映画賞カンヌ国際映画祭審査員特別賞を始め数々の賞を獲得。
名画なので、今更と思う方もいるかも知れませんが、今回が初めての鑑賞。


ちょうど公開当時は個人的に、結婚・転職・子育てと時間に追われる日々だったので、映画も音楽も書籍もちょうど抜け落ちている時期です。
この作品も評判は聞いていましたが、観る機会がありませんでした。


今回、深夜の放映されたので、録画して鑑賞。
tougyouさんの指摘どおり、123分に編集されたものでした。

<あらすじ>
現在のローマ。夜遅く帰宅した映画監督のサルヴァトーレ・ディ・ヴィータ(ジャック・ペラン)は、留守中に母(プペラ・マッジョ)からアルフレードが死んだという電話がかかっていたことを知らされる。その名を耳にした途端、サルヴァトーレの脳裏には、シチリアのジャンカルド村での少年時代の思い出が甦るのだった--。


当時、母マリア(アントネラ・アッティーリ)と妹の三人暮らしだったサルヴァトーレ(サルヴァトーレ・カシオ)はトトと呼ばれ、母親に頼まれた買物の金で映画を観るほどの映画好きだった。そんなトトを魅了していたのは映画館パラダイス座の映写室であり、また映写技師のアルフレード(フィリップ・ノワレ)だった。


パラダイス座には司祭(レオポルド・トリエステ)の検閲があり、そのせいで村の人々はこれまで映画のキス・シーンを見たことがなかった。トトはいつも映写室に入り込む機会を窺っていたが、アルフレードは彼を追い返そうとする。が、そのうち2人の間には不思議な友情の絆が結ばれてゆき、トトは映写室でカットされたフィルムを宝物にして集めるのだった。しかしある日、フィルムに火がつき、パラダイス座は瞬く間に燃え尽きてしまう。そしてトトの懸命の救出にもかかわらず、アルフレードは火傷が原因で失明してしまうのだった。


やがてパラダイス座は再建され、アルフレードに代わってトトが映写技師になった。もはや検閲もなく、フィルムも不燃性になっていた。青年に成長したトト(マリオ・レオナルディ)は、銀行家の娘エレナ(アニェーゼ・ナーノ)に恋をし、やがて愛を成就させ幸せなひと夏を過ごすが、彼女の父親は2人の恋愛を認めようとせずパレルモに引っ越しし、トトは兵役についた。除隊後村に戻ってきたトトの前にエレナが2度と姿を現わすことはなかった。


アルフレードに勧められ、トトが故郷の町を離れて30年の月日が経っていた。アルフレードの葬儀に出席するためにジャンカルド村に戻ってきたトトは、駐車場に姿を変えようとしている荒れ果てたパラダイス座で物思いに耽るのだった。試写室でアルフレードの形見のフィルムを見つめるサルヴァトーレの瞳に、いつしか涙があふれ出す。それは検閲でカットされたキス・シーンのフィルムを繋げたものであった。
ニュー・シネマ・パラダイス(1989) - goo 映画

名画といわれているものに共通している点は、2時間以上に及ぶ長編でも退屈させない所である。
本作も例外ではなく、123分に渡って退屈することもなく、一気に鑑賞。
深夜なのに、こちらの眠気を吹き飛ばすくらい、映画に力があった。


脚本・演出がいいのは当然としても、とにかく子役も含めて脇役に手抜きがない。
子供たちは正しく駆け回り騒ぐ。大人たちも正しくおしゃべりして、けたたましい。
実に、いい感じで戦後のイタリアの田舎町が描写されている。


フィリップ・ノワレ、やはりこの役者抜きには、この作品は語れない。
学歴はないけど職人技の映写技師になりきっている。
また、エレナ役のアニェーゼ・ナーノは、チャーミング。
特に、トトが隠し撮ったフィルムでの愛らしい容姿は、中年男どもに10代の頃の初恋を想い起こさせる。


ラスト・シーンをとやかく批判してる人がいますが、ボクにはその批判が理解できません。
アルフレードのトトに対する無言の愛情に満ちあふれたメッセージ、と受け取りました。
感動的なラストだ。大いなる感銘が体中を駆けめぐる(笑)


映画『オリヲン座からの招待状』は、この映画に影響を受けているような気がする。
映写室の雰囲気やフィルムを自転車で運ぶ姿に、そんな感想を持つ。


主題歌もまた好いのです