『口笛吹いて』(文春文庫) 重松清

口笛吹いて (文春文庫) [ 重松 清 ]


また一人、好きな作家ができた。これまで『定年ゴジラ』のTVドラマ化で名のみ知っていただけの作家。
他の方のブログがきっかけとなり、出会うことができた。


非常に男の心理を心得ている作家だ。それも、触れて欲しくない部分や忘れてしまいたい事を思い出させる作家だ。


表題作は、

偶然再会した少年の頃のヒーローは、その後、負けつづけの人生を歩んでいた。
もう一度、口笛の吹き方を教えてくれたあの頃のように胸を張って笑って欲しい―。
「BOOK」データベースより

という内容。ボクは、元「ヒーロー」よりも主人公のある意味「勝負を避ける」感覚。
これ、なんかわかるなあ(苦笑)


「逃げてるんじゃあない」と自分に言い訳しているような心持ち。
「うん、これこれ。そうなんだよ!」という感じ。でも、一方で「それは言って欲しくないなあ」という感じも(苦笑)
何もかも見透かされているような、心の中まで透けて見える「鏡」の前に立っているような……。


まあ、とにかく見事な筆力。
「中年男性よ!一読あれ。」 ちょいとお薦めの本ですぜ(笑)