激流中国−上海から先生がやってきた−


昨年来、継続のシリーズ。中国国内では、この番組の放映はどうもないらしい。
はっきりと調べたわけではないので、一応は「らしい」としておく。 


経済開放開始以来、30年近く経過しようとしている。
ボクが、訪中した'80年はまだ国全体が貧しく、家庭に白黒テレビがあるだけで裕福、という認識だった。
まさに現在の沿岸部とは隔世の感がある。
しかし、内陸部はそう変わらないのでは……。
というより、沿岸部の発展によって、経済格差が広がり社会問題化している、と言った方がいい。


映画『米』では、'50年代の農村部の貧困を映し出していた。
あの頃の農家も貧しかったけど、単純比較はできないものの、現代中国の内陸部農村の方が……。


今回の番組で紹介された村は、まさに映画『あの子を探して』(張芸謀チャン・イーモウ)・監督)を彷彿させる所だ。


NHKスペシャル激流中国 上海から先生がやってきた〜貧困の村で〜』

経済成長のかげで、およそ6000万人の貧困人口を抱える中国農村部。貧しさの原因とは何なのか。彼らを救う手だてはあるのか。貧困地区を助けようと都会からやってきた若者たちの苦闘と農村の現実を半年間にわたって取材した。


これまでに10万人が参加したという都会の若者が貧困を助ける支援プロジェクト。今年、黄土高原の最貧困地域、寧夏回族自治区西吉県に13人の若者が派遣された。メンバーの一人、上海の名門、復旦大学に通う梁佩思(りょうはいし)さん(22)は、外資系企業からの就職の誘いを断り、貧しい農村の高校で一年間のボランティア教師となることを決意した。


しかし、苦労知らずの都会暮らしの梁さんを、想像を絶する日々が待ち受けていた。零下15度に冷え込む厳しい自然。具のない饅頭だけが、毎朝毎晩続く食事。あたりには故郷を捨てて移住した農家の跡が点在していた。
それでも子どもたちは、貧しさから抜け出すために、一心不乱に進学を目指す。梁さんは、生徒たちの家に通い、親身になって相談に乗り始めた。しかし、親の病気を治すにも借金が必要で、返済のために子どもは進学の道を断たれる悪循環。非情な経済の論理が急速に農村を蝕んでいる実態に、途方に暮れるばかりだった。 


若者たちの悪戦苦闘を通して、貧困の現実と彼女たちの心の葛藤を大自然をバックに描き出していく。
 http://www.nhk.or.jp/special/onair/080302.html

番組に登場する学生たちは、真面目だ。
真摯に現実に向かい合おうとしている。
だからこそ感じる無力感。
中国政府関係者、彼らの奮闘努力に応えるべきですよ!
彼らに不満の「ガス抜き」役をさせては不味いなあ。
軍事費の数%を貧困家庭救済に当てるくらいの度量がないと、「人民の国」が泣くのでは?


しかし、まあ社会主義なのに福祉厚生は、どうなってるの?と訊きたくなる。
いくら経済発展のためとはいえ、農村の貧困化は予想外、だったのではなかろうか?


それに、官僚の汚職もなくならない。
中華人民共和国の法律には暗いのでわからないが、
以前放映されたものには、日本だったら「収賄罪とか贈賄罪の疑惑もたれるのでは?」というシーンも。


まさか、日本のように農業を犠牲にして、工業化をはかるのが、国家政策ではあるまい。
国内の不満の目を国外やオリンピックに向けさせる。
こんな安直な方法では解決には……。


この国の歴史を辿ると、
国内状況がたちゆかなくなったとき、農民反乱か新興宗教による反乱が起こるのだが。
グローバル化している現代、中国や中国人に対する好悪に関係なく、この国の混乱は世界に波及する。