『歩く、人』'01 小林政広/監督

歩く、人 [DVD]


<出演>緒形拳香川照之林泰文・大塚寧々・石井佐代子・占部房子


知らなかった作品でした。この監督の作品も観たことがなかったので、半ばギャンブルのつもりでレンタル。借りて正解でした(笑)


妻を亡くした男と息子達の物語。粗忽で不器用な男達のドラマだ。
最初見たときは、何かメリハリのない印象であったが、味わいのある緒形の演技に惹かれて、繰り返し観てしまった。

<あらすじ>
北海道の小さな寒村。造り酒屋を営む66歳の本間信雄(緒形拳)は、2年前に恋女房をガンで亡くしている。次男は家業を継いで信雄と共に暮らし、長男は 12年前に家を飛び出して、もうすぐ30歳になろうとするのに芽の出ない音楽活動を続けている。孤独な信雄の日々の唯一の楽しみは、毎日片道8キロ、鮭の孵化場に通ってほのかに恋心を寄せる職員の美和子と会い、鮭の稚魚の成長を見守ることだった。2日後に迫った亡き妻の3回忌。久しぶりに家族3人が集うこの日、信雄はもう一度、息子たちと歩み寄りたいと願っていた。
歩く、人(2001) - goo 映画

場面の代わり際に、映される(多分)緒形拳自筆の文字がいいアクセントになっている。
また、古い造り酒屋の店構えがいい。この家の歴史を感じさせる。


緒形拳の肩の力の抜けたような飄々とした演技がいい。特に、歩く姿に味があり、歩くシーンばかりを何度も繰り返し鑑賞してしまった(笑)
二人の息子(香川照之林泰文)も好演している。不器用で感情を上手く表せない感じが、よく出ている。


鮭の孵化場の職員役の石井佐代子という女優さんがいい。大地の香りのするような空気を醸しだす。
彼女は、葉月蛍orほたるの名で成人映画に多数出演。一般映画は本作だけのよう。もっと映画で観たい女優さんだ。また、多摩美大出のアーティストでもある。


ただ、ひとつ気になるのは、人物を映している際のカメラの動き方。意図があってのことだと思うが、どうも何度観ても落ち着かない(苦笑)