『池波正太郎劇場』(新潮新書 ¥700)重森敦之


鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の人気シリーズの作者も物故してはや16年。

時代小説を書く作家は多いけれども、未だによく読まれている。時代を越えて、人間が作品中に息づいている
ことが過去のものにしない一因なのでは。 加えて、登場人物が主役脇役を問わず魅力的だ。

こんな池波作品の魅力を語った著作は多い。

本書は、作品の数々と池波と縁のある人々との交流を紹介している。とくに本書の特色としては、後者の内容を
挙げたい。 池波のエッセイで既に耳馴染んだエピソードもあるが、初耳の内容もある。おそらく池波は、照れく
さくて自身の筆では書けなかったからだろう。

著者は、池波正太郎とその作品に対して愛情と敬意をもって接している。これが単なる企画ものに終わらせてない点だ。

本書を読んで、池波好みの店で料理を賞味したい方は、

池波正太郎が通った味―東京・横浜・松本篇』(中公文庫 ¥800 ) 馬場 啓一 (著) がお薦めだ。

ボクも横浜の「徳記」日本橋たいめいけん」神田「まつや」等、一度ならず足を運んだ店は多い。