おれがあいつであいつがおれで(理論社)山中恒

おれがあいつであいつがおれで (山中恒よみもの文庫)
大林宣彦監督の出世作・映画『転校生』の原作。当然、小説と映画とは設定はことなるものの、そのエッセンスは映画にも十分受け継がれている。


架空の森野市を舞台に小学6年生の「斉藤一夫」と「斉藤一美」の心が入れ替わってしまうことから、おこるどたばた騒ぎ。


思春期の入り口にいる少年少女が、体が入れ替わることで感じる異性への想い。一見、突拍子もない設定になっている。でも、そこから作者のメッセージが聞こえてくるようだ。「相手を思いやる」ことはまず「相手の身になって」考えること。このことが大切なのだ、と。


映画『転校生』もセルフ・リメイクされている。そんなときだからこそ、この機会に一読するのもいいのではないだろうか。
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