「東京名画座グラフィティ」田沢竜次

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以前、beatleさんのブログあの町この町に名画座があった - 旧・かぶとむし日記で紹介されていたものです。
街にレンタル・ビデオ屋と家庭にビデオが、普及する以前に映画の魅力に取り憑かれた人なら、共感をもって読むことができる。それにしても、よくもこれだけ映画をみているなあ、と感心を通り越して呆れてしまうくらいだ(笑)


各街の名画座の話も面白いが、それ以上に「映画館にはアンパン」(pp.92-93)が個人的にはグッとくる。ボクも名画座にはアンパン&牛乳でよく時を過ごした。


ボクが名画座に行くようになるのは'70年以降で、それでも映画を観るのはロードショウの方が数多く観たような記憶がある。

『ウエストサイド物語』『SOS北極… 赤いテント』『サウンド・オブ・ミュージック』『ある愛の詩』『チャイコフスキー』『ライアンの娘』、今思い出せるのはこれくらいだが、みな有楽町・日比谷のロードショウ館で中1から中2にかけての時期に観た。


よく、映画を観てから、銀座の山野楽器でレコードを物色したので、必然的に食事は「立ち食いソバ」とか安いカレー屋ばかりで、レストランなど夢のまた夢であった。名画座や邦画館では、パンをかじり牛乳飲むながら観ることができた。でも、有楽座とか銀座スカラ座とかテアトル東京では、なにも食べられなっかったなあ(何でだろう?) どうも気分的にそうならなっかたのかなあ? とにかく(今では考えられないくらい)懸命に観ていたようです。


乏しい小遣いでのやりくり(映画以外にも、レコードや本・雑誌を買ったり)は大変だったなあ、なんてことを思い出させてくれる本でした。


この名画座文化は、細々でいいから東京に残って欲しいものだ。