記録映画『在りし日のカーブル博物館 1988年』 土本典昭/監督

この博物館は「バーミヤン石窟寺院」の訪問とともに忘れがたい思い出として、ボクの記憶に刻まれている。'78年夏、クーデターからあまり時を隔てていない戒厳令下の旅であった。

この映像は'88年に撮影されたものが中心である。
アフガニスタンの首府にあったカーブル国立博物館は、仏教美術の宝庫の一つとしてよく知られていた。しかし、'90年代の内戦により美術品の7割が失われたという。
また、博物館の建物は、ロケットにより破壊されてしまった。

ここで紹介されている仏教美術の数々は、ほとんど見た記憶のあるものばかりだ。
仏教美術史の貴重な資料でもある。それを…(悲)


イスラムを信仰する自由は当然ある。しかし、人類の過去に築いた文明の遺産を破壊する権利はない。
日本人も含め、人類は数々の文明の遺産を破壊してきた。その時は無意識だったろうけど…。だが、バーミヤンの大仏やその他の仏教遺跡の破壊は、どうだろうか?
ボクには、タリバーンは「確信犯」と断定したい。政治的な思惑や内戦の状況が何であれ。たとえ、仮に民衆の支持があったとしても。


アフガニスタンだけでなく、中国の文化大革命にも言えることだが、文化財を政争の具に曝しては取り返しのつかないことになる。このことだけははっきり言える。いかなる国内事情があったにしてもだ。


また、アフガニスタンの首都は、一般に「カブール」で知られているが、現地では「カーブル」と呼んでいる。学術論文では後者を採用しているものもあるし、個人的にも後者の方がしっくりする。

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