『祇園の姉妹』'36 溝口健二/監督 依田義賢/脚本

祇園の姉妹 [DVD]

やや以前のことだが、今月7日(土)京都文化博物館・映像ホールにて鑑賞。ここでは毎週木・土と金・日に、それぞれ1作を日に2回上映。13(金)・15(日)には『祇園祭』(萬屋錦之助・主演)が上映された。


山田五十鈴・主演で、花街の厳しい現実を美しい映像で見せる。女が自立して生きることの難しさを華やかな世界の裏側を通して描いている。
モノクロの画面でありながら、着物や表情が色を持って迫ってくる。
第13回(1936年度)キネマ旬報ベスト・テン第1位

<あらすじ>
梅吉(梅村蓉子)とおもちゃ(山田五十鈴)は祇園の美しい芸妓姉妹。昔気質で人情に厚い梅吉は、落ちぶれて訪ねてきたかつての恩人・古沢(志賀廼家弁慶)を居候させるが、女学校出で現代っ子のおもちゃは、そんな姉に反発した。
姉のもっといい旦那をみつけようと考えたおもちゃは、呉服屋の番頭・木村(深見泰三)をたぶらかして着物をつくらせ、骨董屋の聚楽堂(大倉文男)を騙して手切れ金をつくり、姉の留守中に古沢を追い出した。やがて、木村の不正が店の主人・工藤(進藤英太郎)に知られると、おもちゃは工藤を旦那にした。
だが、梅吉は古沢を追いかけておもちゃから離れていった。おもちゃと主人の関係を知り、店を解雇された木村は、恨みに燃え、復讐の機会をまっていた。おもちゃをだまして車に乗せた木村は彼女を車から突き落とした。
大けがを負ったおもちゃの病室に、梅吉が現れた。彼女も結局古沢に捨てられたのだ。病室にはおもちゃの悲憤の叫びが響いた。
京都文化博物館・映像ホールプログラム 2007−7より


当初の資料では「上映時間96分」とあるが、現存のフィルムは69分である。
「初公開時より23分欠落」しているそうである。5分ほど計算が合わないが、何か理由があるのだろうか?
いい作品なので、非常に残念である。


また、現在、常設展示の入場券(大人\500)で鑑賞できる。要望であるが、せっかく豊富な映像資料を所蔵しているのだから、日に2作か3作の上映をしてくれたら、と思う。