『歌え!ジャニス・ジョプリンのように』'03 サミュエル・ベンシェトリ/監督

マリー・トランティニャン


題名に惹かれてレンタルした作品。フランス映画である。
主演女優・マリー・トランティニャンは、『男と女』ジャン=ルイ・トランティニャンの娘。彼女は公開直前に恋人の暴行により死亡。本作が遺作となった。

<解説>
保険会社に勤めるパブロ(セルジ・ロペス)は、ほんの出来心で顧客の高額な掛け金を横領する。ところが、思いがけない事故が起こり、多額の保険料の支払いを迫られる。折しも、いとこのレオン(クリストフ・ランベール)が莫大な遺産を相続したらしい。30年前からLSD漬けの彼は、いつかジャニス・ジョプリンジョン・レノンが会いに来るという妄想の中で生きていた。そこで一計を案じ、妻のブリジット(マリー・トランティニャン)をジャニスに、俳優のワルテル(フランソワ・クリュゼ)をジョンに仕立てて…。


誰もがみんな少しずつ孤独で滑稽で哀しい。夢の中にただひとり生き続ける元ヒッピー、夢見ることなど忘れて日々の暮らしに埋没している夫婦。成り行きで妙な夢の片棒を担ぐ自称俳優、名優ジャン=ルイ・トランティニャン演じる老人にしても、どこか怪しげだ。そこへ歌うことに全身全霊を傾けるジャニス・ジョプリンの魂が舞い降りる。受け継ぐのはブリジット。虚ろな眼差しのくたびれた主婦が、サイケなファッションに身を包み、“成り切りジャニス”として生き生きと輝き出す。惜しくも本作が遺作となってしまったマリー・トランティニャンがシャウトする“コズミック・ブルース”は圧巻だ。


舞台演出から戯曲、小説まで手がける若き才人サミュエル・ベンシェトリの長編第一作は、長年のパートナーだったマリーに捧げた大人のファンタジーだ。シャンテ・シネほかにて
歌え!ジャニス・ジョプリンのように - goo 映画

本編中、実際にジョンやジャニスの歌が出てくる。最初は、そっくりさんによる物真似かと思ったが、どうも本物みたい、と思った。その疑問は、監督のインタビューを読んで氷塊。
ジョンとジャニスの遺族が無料で使用することを許可してくれたようだ。


ややファンタジックな内容だけど、現代人の孤独を突き放しかつ面白可笑しく、演出している。
一番幸福なのは、皮肉なことにLSD漬けのレオンのような気がする。


また、こちらに監督のインタビューが掲載されている。

歌え!ジャニス★ジョプリンのように~ジャニス&ジョン~ [DVD]