『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』'07 松岡錠司/監督 リリー・フランキー/原作 松尾スズキ/脚本

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観よう観よう、と思いつつも見そびれてました。やっと観ることができました。以前紹介しておきながらbeatleさんのサイトyotarosanのサイトでの映画評を読むばかりで、いやあ情けない(苦笑)でも、やっと観られました(ヤレヤレ、ホッと一息)

<作品解説・紹介>
1960年代。3歳のボクは、遊び人のオトンを捨てたオカンに連れられ、小倉から筑豊のオカンの実家に戻ってきた。オカンは女手ひとつでボクを育てた。オカンの作る美味しいご飯を食べて、ボクは成長した。15歳になって、ボクはこの町を出て行きたくなった。大分の美術高校に入学し、東京の美大をなんとか卒業するが、仕事もせずに、仕送りしてもらい、更に借金を重ねていた。そんな中、オカンが癌に侵されていることが分かった。

ベストセラー小説でTVドラマにもなった「東京タワー」が映画に。原作は、リリー・フランキーの自叙伝的な作品だが、映画では主人公<ボク>を、リリー・フランキーなんだろうなぁと思わせてはいるが、そうと設定せず、あなたの物語としている。<オカン>に、苦労かけていると分かってはいても、ダメな自分を変えられない<ボク>に<オトン>。それは、誰もが若い頃の自分に思い当たることではないだろうか。ドラマチックなようでありながら、ありふれた物語が詩情あふれるナレーションを挟みながら展開される。オダギリジョーのいい意味で力の抜けた絶妙な存在感がいい。樹木希林演じる、強くて愛情深いオカンは、生涯記憶に残るだろう。
東京タワー オカンとボクと、時々、オトン - goo 映画

映画の主人公同様、ボクも<オカン>には随分我が儘を言ってきた方なので、なかなか身につまされる(苦笑)
たまに帰省しても、友人のところを泊まり歩いて、家に帰る時でも午前様は当たり前。それで、小遣いせびるんだから、とんでもない奴だ(はい、過去のボク自身のことです<苦笑>)。


映画としては、よくできていると思います。最後まで、時間を忘れ退屈せずに観ました。TV版は未見なので比較はできません。それと、スイマセン、原作は読んでません。


ボクと同年代で、親元離れて学生生活送ってきた人なら、少なからず共感する映画かなあ。
今更言うまでもありませんが、樹木希林の<オカン>は流石です。癌末期で苦しむところは、こちらまで身を堅くして観てました。小林薫もオダギリー・ジョーも松たか子も、よかったです。


年と共にボクは、涙腺が緩みやすくなったけど、どうもこの映画は泣けなかった。
beatleさんが指摘された「泣く泣く泣く……あのクールな演技のできるオダギリー・ジョーが泣いて泣いて、泣く。」ところは、ボクも演出に一工夫欲しかったなあ、と思いました。
逆に、<オカン>の亡骸の前で、原稿とイラストを制作するシーンは、あっさりでした。ここで何か−大泣きするという意味ではありません−されたら、涙腺に抑えが効かなかったような気がしますが…。


役者を大泣きさせない演出で、こちらを泣かせてくれたらなあ、とは率直な感想です。とはいえ、いい映画ですよ。決して駄作ではありません。
終盤を演出の工夫で何とかなったら、佳作から名画にワンランクのアップが可能、なんて生意気なこと考えてしまいました(笑)