'08センター試験 古文・漢文

19日に行われたセンター試験の古文・漢文問題をチェックしてみた。
古文は浅井了意『狗張子』、漢文は胡直『衡廬精舎蔵稿』から出題された。
前者、浅井了意については、以下を参照。

浅井 了意(あさい りょうい、慶長17年(1612年) − 元禄4年1月1日(1691年1月29日))は、江戸時代前期の浄土真宗の僧・仮名草子作家。父は東本願寺の末寺本照寺の住職。本名は不詳。号は松雲・瓢水子・羊岐斎。京都の出身。

父が本照寺の住職を追われ浪人し、容膝に師事して儒学仏道神道の三教に通じた。その後京都二条本性寺(真宗大谷派)の昭儀坊に住した。仏教書・和歌・軍書・古典の注釈書などを著す一方、「堪忍記」「可笑記評判」「東海道名所記」「本朝女鑑」など多岐にわたる著作を行い、1666年(寛文6年)に刊行された「御伽婢子(おとぎぼうこ)」は怪奇物の祖として後世に大きな影響を与えた。仮名草子だけでも30部余りの作品があり、その中でも「浮世物語」は浮世坊が諸国を巡遊する物語であるが、仮名草子から浮世草子へ移り変わる作品として注目されている。1692年(元禄5年)に刊行された「狗張子」によれば、1691年(元禄4年)1月1日に昭儀坊で亡くなったという。

著書は数多いが、『浅井了意全集』(岩田書院、全19巻:予定)の刊行が2007年8月より開始されている。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

古文の問題文自体は読みやすいもので、古典文法・単語の特別な知識がなくても大意は理解できる。語句解釈も空欄挿入も、話の大筋から推測することで正解に導ける。他の設問(文法問題含)も同様で特別な知識がなくとも、正解を選択することはさして困難ではない。
中世文学に比して読みやすいなあ、というのが個人的な感想である。


後者、胡直は明代の官吏。著作名『衡廬精舎蔵稿』の「衡廬精舎」とは彼の書室を指す。
漢文の問題文は、絵画論を通して学問の本質を説く内容で、昨年に比べ長くはなったが、論理的な文章だ。
固有名詞は、大昔に『歴代名画記』を少しばかりかじったことがあるので、馴染みがあった。でも、知らなくても何とかなる内容だ。


設問もまあ標準的。選択肢の内容と本文を対照することで正解にたどり着ける、と思う。
ただ、注意すべき設問は、問1(ア)「与」の読みだろう。素直に「と」と読めばいいところを、考えすぎて「より」(比較の意)にとりかねないからだ。


個人的には、明代の随筆には全く素養がないので、出題する文章を他の箇所にされたらお手上げだっただろう(笑)