『冒険にでよう』(岩波ジュニア新書)椎名誠

冒険にでよう (岩波ジュニア新書)


久々の読んだ椎名誠の著作である。思えば、この著者との出会いは、かれこれ四半世紀前に遡る。
確か、修士論文の作成のため半年以上、読書できなかった。
これだけの期間、本を読まないで過ごしてきたことはなかったので、かなりの読書飢餓?状態にあったことを覚えている。


修論を無事に提出。その後、学習塾のバイト。
帰宅途中、寺町二条上ルの「三月書房」にかけ込むように入り、5・6冊文庫本を購入した。
山下洋輔のエッセイや筒井康隆の短編集などなど、その中に椎名誠『わしらは怪しい探険隊』もあった。


部屋に戻り、さあ読むぞとばかりに一週間ほど、部屋と行きつけのJAZZ喫茶、クラシック喫茶で、延々読んだことを覚えている。


本書『冒険にでよう』は、これまでの彼の「冒険」に関する内容をまとめたもの。
この人、実に世界各地、それも不便なところに出向いている。
タクラマカン砂漠に入り、楼蘭に行く旅(or冒険)は、ボク個人は行きたい都市だが、一般には「?」だろう。
ヘタしたら、大変なことになるかも?ということも十分考えられる。
それに対して、椎名さん、悲壮感全くなし。嬉々として歩いている感じ(そこがいいのだ<笑>)


随分危ない目−例えば、遭難しかけるとか−にも会ってるが、全然懲りない人なのだ。(そこも好きなとこだ)彼の冒険精神−椎名氏によれば「野次馬精神」−の原点が、『さまよえる湖』と『十五少年漂流記』であるところが、素朴でまたよろしい。


本書は、某私立中学入学予定者に与えられた課題図書の一冊。
この類の課題には退屈極まりない本ばかり出す教師もいる中、このような本を出した教師のセンス。
この先生となら、仲良くなれるかも(笑)