『ルート225』 '05  中村義洋/監督   藤野千夜/原作   林民夫/脚本

ルート225 [DVD]


今回は、ファンタジーというか少し不思議な世界の青春映画。
『青空のゆくえ』の多部未華子が主演。TVドラマでは『鹿男あをによし』の堀田イト役が記憶に新しい。
彼女の歯切れのいい話し方を聞いているだけで、心地よい。


決して、群を抜く美人でも、抜群のスタイルをしているわけもはない。
でも、存在感があるなあ。おそらく同じ服装をした女の子が100人いても、目立つような感じだ。
目がいい。ちょっと怒っているようなその目が、笑みに変わる瞬間が格別魅力的。
また、声も良い。容貌を抜きにして「声」を聴いて好いなと感じたのは久しぶり。薬師丸ひろ子、以来か?

中学2年生のエリ子は、両親とひとつ年下の弟・ダイゴの4人でごくごく普通に暮らしている。そんなある日、帰りの遅いダイゴを探しにいったエリ子は、隣町の公園で弟を見つける。制服のシャツがいじめっ子に落書きされてしまい、帰るに帰れなかったらしい。エリ子の説得で帰路についた2人だが、どうもビミョーに風景が違うような・・・? しかもダイゴは、死んだはずの元同級生にまで再会してしまう。一体ココは、ドコ?!


しっかり者でクールな姉と、ヘナチョコでお姉ちゃんに頼りっぱなしの弟。そんな2人が元の世界と“ビミョーに”しか違わないのに、ママとパパだけがいない世界へと迷い込んでしまう・・・。設定こそファンタジーだが、どうにか元の世界へ戻ろうとがんばる2人は等身大で描かれており、思春期ならではの不安感や感受性がリアルに伝わってくる、オカシイけどセツナイ作品だ。主人公エリ子を演じるのは、キリっとした目元で意思の強さを感じさせる多部未華子。対するダイゴ役の岩田 力は何ともとぼけた味なのだが、この2人のコンビネーションが絶妙! タイプは正反対なのに、本当の姉弟かと思ってしまうほど息の合ったやりとりをお楽しみに。
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普通、すんでのところで元の世界に戻り、平穏な生活を取り戻す、となるのだが……。
本作は、お定まりというか誰もが「安心」するラストを用意してない。


いわゆる「パラレルワールド」と「親子や姉弟の絆」を扱った作品。
姉と弟の絆と成長記とも親別れ記とも読みとれる。
まあ、ファンタジーなので、現実だったら……、という話はなし。
ファンタジーをファンタジーとして楽しむことに専念してると、
作品の面白さと共に、多部未華子の魅力を受け止めることが出来る。


多部未華子は、蒼井優宮崎あおい沢尻エリカ堀北真希長澤まさみ新垣結衣といった、主役をはれる若手女優のなかでも、ひときわ異彩を放っている。


こちらのブログに非常に丁寧な解説があり、鑑賞の参考になる。