『雪の記憶』(角川文庫)富島健夫 &その映画化。

雪の記憶 (徳間文庫)


tougyouさんがブログに書かれていた富島健夫『雪の記憶』を一気に読了。
島健夫、この名はボクと同世代なら、週刊「プレイボーイ」誌に掲載されていた連載小説の作者として記憶しているだろう。


ボク自身、この名を見て、まず懐かしさがこみ上げた。
高校生には、宇能鴻一郎川上宗薫は刺激?が強すぎ、富島健夫が程良い感じであった(笑)


だが、本作はボクの知っている富島健夫ではない。この作品は、青春小説とか純愛小説に色分けされるものだ。
はい、そうです。「生唾、ゴックン」のシーンは皆無です。


舞台は、戦後間もない頃の(多分)九州のとある町。
その題名から、北国を舞台に想像するかも知れない。
が、雪が降る場面は何度もあるが、雪国が舞台ではない。


主人公の海彦と雪子の恋愛は、人気の『恋空』とは次元が異なる。
現代の中高生から見たら、かったるいし、じれったいかもしれない。
まあ、「初恋」とは、端から見ると、かったるくてじれったいものなのかも。


この初恋、男性の視点からのものなので、女性側の見方ではどう感じるのか、興味のあるところである。
皮肉な言い方をするなら、雪子を美化しすぎているような……。
しかし、恋をすると相手を美化するのは、必然ですからねえ(笑)


個人的には、武者小路実篤『愛と死』、堀辰雄『麦わら帽子』と並ぶ、印象に残る恋愛小説となった。


この題材なら映画化したくなるのは、よくわかる。実際2度に渡り映画化−『故郷は緑なりき』&『北国の街』−された。
小説の素晴らしさにつられて、後者の方をレンタル。
感想は……(苦笑)


※映画『北国の街』のボクの感想は、こちらです。