温泉話をもう一つ

別ブログに書いたことだが、木下恵介の『衝動殺人 息子よ』で主演の若山富三郎は、京浜工業地帯の町工場−「コウジョウ」ではなく「コウバ」−のオヤジさん役を演じていた。


映画の内容とは関係なく、ボクは実に板についた町工場のオヤジぶりに感心した。というのは、我が亡き親父殿は、まさに京浜工業地帯の「町工場のオヤジ」であったからだ。
あの映画を観ていると、しみじみと亡きオヤジが工場にいたときの姿を思い出す。


我がオヤジさん、無類の温泉好きで、旅行をして温泉と無縁だったのは、京都くらいだ(笑)
温泉も、夫婦や兄弟や友人夫妻と行くときは、九州・四国・北海道にまで行っていた。
でも、ボクが小学生から中学生にかけての頃は、栃木県や群馬県の温泉が多かった。


思えば、帰りがけに下妻に寄って、お土産を配りがてら親戚巡りをするのが恒例だったからだろうか。


まあボクとしては、いつもと違うところで、いろいろとご馳走が食べられるのは何にも増して、うれしいことだった。栃木県や群馬県の旅館だったので、川魚や山菜料理が多かったが、いつも夕食に出る「鶏山賊焼き」は、子供心に一番のご馳走。骨を片手に持って、鶏肉にかぶりつくのが特別のご馳走になっていた。今思うと、かわいいが……(笑)


水上温泉草津温泉磯部温泉に行ったけど、オヤジ殿は温泉三昧―日に4〜5回―で、こちらは食べるのが楽しみ。そして、無数のツバメの巣を見て驚いたり、野ウサギを追いかけたり、そんな家族旅行であった。


↑今はこんなお風呂にどっぷり浸かりたい