村上春樹の思い出


どこかで、村上春樹の最新作「1Q84」の出ることを耳にした。それがどこだたったのか思い出せないのだが……(苦笑)


それはともかく、久々の長編発表で、ニュースによると

部数は累計で68万部に上った。

とのことだ。
今朝TVをつけると、フジ系列の番組で特集をしていた。
1Q84 a novel BOOK11Q84 a novel BOOK2を同時に発表してこれなのだ。
まだまだ人気はある、というか、ボクが夢中になった'80年代半ば−『ノルウェイの森』のちょっと前−の頃よりも、認知度も評価も高いことは確かだ(笑)


思い起こすと、村上春樹の作品を初めて読んだのは、'80年代の前半だった。
北白川の学生マンションで『風の歌を聴け』を手に取ってから以来、氏の作品とのつきあいは続く。


まだ、レンタルレコード店が、大きな顔で学生街に鎮座していた頃だ。
マイルスやコルトレーンやビル・エヴァンスに馴染んだのは同時期だ。


1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』といった長編から、『カンガルー日和』『回転木馬のデッド・ヒート』といった短編も、『夜になると鮭は‥‥』『マイ・ロスト・シティー』の翻訳ものも。
いやあ、実によく読んだ。旅や音楽に関してのエッセイ類も面白く読んだ。


氏の多くの作品で、文学的な意味合いとは関係なく、最も印象に残っている作品がある。
「スパゲティーの年に」(『カンガルー日和』所収)というやつだ。


話は、基本的に一人でスパゲティーを茹で、食べる主人公のところに、12月の午後に電話のベルが鳴る。
知り合いのかつての恋人からだ。面倒に巻き込まれたくない言い訳に、

「悪いけど」と僕は繰り返した。「今スパゲティーを茹でてるところなんだ」

と言って、電話を切る口実に空想のスパゲティーを持ち出す話だ。


それ以来、ボク自身、昼前後に掛かってくる、うっとおしい電話には、この手を使っている(笑)
営業で電話をかける方、昼前後に電話の相手が
「パスタの茹で加減がおかしくなるだろう!」と不機嫌な声で言うものがあったら、それはボクかもしれない(笑)


本日、書店に行って1Q84 a novel BOOK1を立ち読みしてみよう。
多分、欲しくなるだろうなあ。