jinkan_mizuho2005-12-04


30数年ぶりの再読。話のおおよそは覚えていたつもりだったが、
やはり忘れていた点も多々あり。記憶力というものが、いかに頼
りないものであるかを実感。

近代的「自我」と封建的家制度の衝突は、テーマとしてはいささ
か古い。しかし、人としての親子の情や葛藤は普遍的なものだ。
特に、第一子の病死と第二子の誕生の場面は、人の親となって
から読むと、心に訴えてくるものがある。そして、第二子の誕生を
きっかけとして父子の和解がなる。

当時(20世紀初頭)の「文士」というか「高等遊民」の生活
感をかいま見る。文化とは、ある意味、こんな環境で生まれてい
くのだろう。まあ、あくまで先の大戦以前というカッコつきではあるが。