「雨鶏」(ソニーマガジンズ)芦原すなお

雨鶏 (ヴィレッジブックスedge)

雨鶏 (ヴィレッジブックスedge)

内容(「BOOK」データベースより)
山越只明は田舎から上京してきて、大学の独文科―というよりもっぱら居酒屋に通い、文学―というよりもっぱら麻雀を学んでいる。折りしも時は1960年代、学生運動のまっただなかで、他の学生たちはストだ、反戦だ、自己批判だのと、やかましい。周りのことはおかまいなし、毎日楽しく暮らせればいいではないかと山越君は思っているけれど、それはそれで大変なのだ。恋だってあれば、変なアルバイトもあり、偏屈な教授の相手も、親友との突然の別れもあり…。直木賞受賞作『青春デンデケデケデケ』の続編とも言える、大らかなやさしさに満ちた、のんびり、ほんわか、ゆるゆる青春小説。


青春デンデケデケデケ』に続いてこの作家の作品を読んだ。理屈抜きに面白い。うーん、はまりそうだ。


授業をさぼり、部屋にこもって読書したり、映画を観たり、メンツを揃えて麻雀大会、安い酒場で安い酒を飲み悪酔いする。
金はないが時間はたっぷりある。そんな大学生のお話だ。個人的には、そんな話は好きです。

ボクにも少なからず経験がある。個人的には、3本立ての名画座の早朝サービス−確か、牛乳とアンパン−が懐かしい。

ただ、学費値上げ反対のストとか大学側がロックアウトとか、今の大学生にはピンとこないかもしれない。部屋に電話がないのが当たり前の学生生活を送った人向きの作品なのかなあ、と思う。おそらく、バブル期以前に貧乏学生した人には身にしみてよく理解できるはずだ。