食事は楽しく

食事をするのに堅苦しいのは、閉口だ。だからといって、好き勝手に食い散らかすような輩と同席するのはもっとイヤだ。どんな国・民族であれ、独自の文化を持っているように、食事についても独自のマナーがある。
例えば、よく知られているところなら、日本では御飯茶碗は手に持って食べるが、朝鮮半島ではそれはマナー違反。御飯茶碗は、テーブルに置いたまま食べる。日本人からみたら行儀が悪いと感じる食べ方だ。


だからというわけではないが、よそ行きの顔で食事をしなければならないとき−冠婚葬祭が代表ですが−、和洋中の食事のマナーを知っておくのは、大人として当然なのではないだろうか。
テーブルマナー講座なんて言葉を聞くと、「気取るな!」とか「気障だ!」と考える人もいるかも知れない。けれども、最低限のマナー−例えば、スープや魚の食べ方−も知らないようでは、当人は良くても周囲の人が不愉快だ。


なにも小笠原流礼法を完全マスターする必要はない。でも、楽しく美味しく食事はしたいもの。
緊張の余り、何を食べたかわからないでは、せっかく覚えたマナーが、本当の意味で役に立たない。楽しく和やかに会話しながら、食事をするためにマナーはあると思いたい。
だから、箸使いのタブーくらいは覚えているといないでは、相手に与える印象も随分違うのではないか。


イタリアやフランスの映画を観ると、レストランや家庭で美味しく正しいマナーで食事している場面に出会う。
そんなのを観ると、マナーとは、食事を楽しく演出するもの、と実感する。
テーブルマナー講座というと堅苦しそうだけど、皆が楽しく過ごすための方法と考えたら、幾分気安く考えられるだろう。