『鞍馬天狗のおじさんは−聞書アラカン一代−』(ちくま文庫)竹中労

鞍馬天狗のおじさんは (ちくま文庫)

これまで単なる時代劇スターとしてしか認識していなかった。
嵐寛寿郎は、役者としてだけではなく人間としても魅力に富んだ人であることを痛感。
それに反骨の人だ。
世間への立ち回りが苦手というか、面度くさがり屋だ。その点になんとも共感!


特に興味を惹いた箇所を引用。
聞書6「戦争あきまへん」
昭和17年から3年ほど続けた前線慰問の話。
関東軍はたいしたものやね、芸者つきで戦争しとる。」と持ち上げて
「兵隊に苦労させて、自分らは戦費を使うて芸者遊びですわ。こら戦争負けや、いやほんまにそう思うた。」(p.185)


いいですねえ、アラカンの真骨頂だ!


また、出会った監督で、1位を「山中貞雄」2位を「今村昌平」3位を「中川信夫」としている。


金に執着せず、飄々と生きる。好きだなあ、こんな人。