『影の軍団』'69 ジャン・ピエール・メルヴィル/監督&脚色  ジョゼフ・ケッセル/原作

第二次大戦下、フランスのレジスタン活動というより闘争を描いたサスペンス作品。
でも、痛快な娯楽映画を期待するなら、的はずれだろう。


ナチスの弾圧やナチスに対する闘いは描かれているが、「フランス解放、バンザイ!」の映画ではない。
闘争の途上には、作戦の失敗や仲間の裏切り等、負の歴史も当然ある。
本作は、その負の部分を描いたものといえよう。

<あらすじ>
フィリップ・ジェルビエ(L・バンチュラ)は、ある日、独軍に逮捕され、キャンプに入れられてしまった。そして数ヵ月後、突然、ゲシュタポ本部へ連行されることになった。だが、一瞬のすきをみて、そこを脱出した彼は、その後、抵抗運動に身を投じることとなった。
そうしたある日、彼はマルセイユに行き、フェリックス(P・クローシェ)、ル・ビゾン(C・バルビエ)、ルマスク(C・マン)等と一緒に裏切り者の同志ドゥナ(A・リボール)の処刑に立ちあった。その後に、彼は、ジャン・フランソワ(J・P・カッセル)に会った。ジャンの仕事は、名高いパリの女闘士マチルド(S・シニョレ)に、通信機をとどけることだった。彼はそのついでに、学者である兄のリュック・ジャルディ(F・ムーリッス)を訪ねたが、芸術家肌の兄を心よくは思わなかった。
一方、新任務のためリヨンに潜入したジェルビエのところへやって来たのは、意外にもジャンの兄のジャルディだった。やがて無事、その任務を果したジェルビエのところへフェリックス逮捕さる、の報が伝えられた。さっそく、救出作戦を展開したが、ジャンの犠牲も空しく、失敗に終ってしまった。
ジェルビエが再び逮捕されたのは、それから間もなくであった。独軍の残虐な処刑に、もはや最後と思っていた彼を救ったのは、知略にすぐれたマチルドであった。それからしばらくたった頃、隠れ家で休養をとっていたジェルビエを、ジャルディが訪ねて来た。彼の来訪の目的はマチルドの逮捕されたことを告げるためと、口を割りそうな彼女を、射殺するということだった。現在、仮出所中の彼女も、それを望んでいる、と彼は伝えた。
ある日、エトワール広場を一人歩く彼女に、弾丸をあびせたのは、彼女を尊敬するジャルディ、ジェルビエ、ル・ビゾン、ルマスク等仲間たちだった。しかし、遅かれ早かれ、彼等の上にも、同じような運命が待ち受けているのだった。
影の軍隊(1969) - goo 映画

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いわゆるレジスタンスを描いた映画でも、他の作品とは毛色が違う。
どのような歴史にも「明と暗」や「光と影」があるように、レジスタンスの歴史もそれを免れることはないだろう。


L・ヴァンチュラ, S・シニョレをはじめ、俳優の凄みのある演技に圧倒される。
ちっとも楽しくないけど、戦争の一面を知るのには優れた作品だ。