『対岸の彼女』 平山秀幸/監督 角田光代/原作

対岸の彼女 [DVD]


原作に感銘を受けた作品。以前、ringoさんがブログで紹介されていて、最近では、tougyousさんがブログで紹介。
それを読んだbealteさんがブログに感想を書く。そして、ボクがbeatleさんの記事に触発されて本作を鑑賞した。


主な出演:夏川結衣・財前直美・多部未華子石田未来香川照之

角田光代直木賞受賞作「対岸の彼女」を平山秀行監督が映像化。立場も境遇も性格も正反対の二人が出会い、心の交流をしていく。夏川結衣、財前直美ほか出演の大人の青春ドラマ。
goo 映画

35歳の女性・小夜子(夏川結衣)と葵(財前直美)の友情物語。そして、少女時代の葵(石田未来)と魚子(多部未華子)の物語が、交互に展開される。
原作を読んでいたので、この構成に戸惑うことはなかったが、原作を読んでいないとやや混乱するのではないだろうか?


goo映画の解説では、「大人の青春ドラマ」となっているが、少女時代を軽視してもらっては困る。
少女時代の身を切り裂くような経験があったからこそ、現在の姿があるのだ。


その意味で、本作は多部未華子の存在を抜きに語ることはできない。
原作でも、魚子が重要な位置を占めていた、と思った。





それぞれの役者が好演しているが、個人的には、魚子の役、多部未華子がいい。
これまでの作品でも、人には言いにくい事情を持つ少女役があった。
本作では、暗く冷たい家庭に育ちながらも表面的には明るく振舞う少女を演じる。
葵の前でのみ曝す彼女の「本音」が、非常に痛々しく感じられる。


また、魚子は死んだのでない、とはっきり葵が言っている。ならば、現在はどうなっているのか?
原作同様、ドラマのほうも、その点については何も語らない。
何も語らないことで、葵の心の空虚な部分を表しているような気がした。


ただ、ラストで4人が橋で座りながら語らうシーンは、映画的な手法でとても上手なやり方だ。
監督のセンスの良さを感じる。


ここからは、余談です(笑)
少女時代の葵と魚子が家出して、横浜で過ごしていた。夜はディスコ、宿はラブホテル。
バブル当時に流行った髪形・化粧・服装の石田未来多部未華子は、やたら似合っていた(笑)


それと、80年代までディスコには、大した食べ物(揚げ物・フライドポテト・ヤキソバ・サンドイッチ等等)なかったと思っていたが、最近のクラブは飲み物ばかりだなあ(苦笑)


原作に対する感想は、こちらです。